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2026年3月31日をもってNTTドコモが提供する3Gサービス提供が終了します。詳細は下記のリンクから参照可能です。
「FOMA」及び「i モード」サービス終了のご案内
https://www.docomo.ne.jp/info/3g_closed/index.html
NTT ドコモFOMA(3G)停波に伴うIIJ モバイルの継続利用につきまして
https://www.iij.ad.jp/svcsol/mobile-support/news/3g_closed.html
NTT ドコモFOMA(3G)停波につきまして(IIJmio モバイル タイプD)
https://www.iijmio.jp/info/iij/1712655772.html
NTT ドコモ3G サービス終了に関するモバイルデータ通信機能の対応
https://support.seil.jp/
→サポート情報→技術情報→NTT ドコモ3G サービス終了に関するモバイルデータ通信機能の対応
NTTドコモは2019年にサービス提供終了に関する情報を発表しており、遂に来年3月に迫りました。これにより、IIJを含むMVNO事業者の3G回線も利用不可となり、音声通話・SMS・データ通信に影響が及びます。
当然ながら、3Gにのみ対応する端末は利用できなくなりますが、4G(LTE)対応端末であってもこの影響で利用できなくなる可能性があることについて、あまり知られていません。
本稿では、なぜこのようなことが起こるのか技術的な解説をします。あまり期間的な猶予はありませんが、多くの方に3G停波により突然通信サービスが利用できなくなる問題を回避するための準備をしていただき、2026年3月末を乗り切る一助になれば幸いです。
3G停波で発生する問題の解説に入る前に、セルラー方式のモバイル無線技術の進化について説明します。2Gから続く、現在のモバイルの無線技術は1991年の2G導入から約10年おきに新しい無線規格が商用サービスに導入され、進化してきました(図-1)。
図-1 セルラー方式モバイル無線技術の世界でのサービス開始時期と利用期間
一方で、新しい無線規格が導入されると
という流れになるため、新しい無線設備への置き換えが必要となります。また、古い無線規格に比べると、新しい無線規格は限られた周波数資源をより効率的に使える技術が規定されているため、新しい規格に移行するのは自然な流れとなります。
そのため、どこかのタイミングで古い無線規格の利用を止めて、新しい無線規格に移る必要があります。3G停波がまさにこの状況となり、自然な流れとなります。図-1を補足する資料として、世界の端末ベンダーの業界団体GSAが公開している世界のキャリアの2G/3Gの停波状況の推移を示します(図-2)。2025年をピークとして2G/3Gの停止が相次ぎ、4G以降の無線世代に一気に移行します(図-2)。
図-2 引用元GSA、2G/3G sunset and implications for 5G Broadcast
一方で、新しい無線規格の導入初期では新しい無線網を使えるエリアが広くないため、過去の無線規格を利用してエリアを補完するように無線網が構築されるのが一般的です。この際、無線網間の連続性を保つため、コアネットワーク同士を連携させることで接続が切れずに、新旧の無線網をシームレスに移動が可能となります。
このような状況を想定して、端末は新旧の無線規格に対応するように作り込まれており、新旧の無線網が存在している状態では問題になりません。しかし、今回の3G停波のように古い無線網が廃止される場合に、この連携ができる前提で作られた端末では問題となります。以下の解説でこの問題の詳細について説明します。
前節でも述べましたが、端末実装の問題により3G停波で下記のような影響を受けます。
上記の(2)の3G/4G両対応の端末の問題を更に分類すると、大きく分けて下記のようになります。
以下の節ではそれぞれの問題について解説します。
モバイルの無線規格を規定する3GPPの仕様では4G端末は大きく分けて2つのモード(UE usage setting)に分類できますので、それぞれについて解説します。
IIJでは3G停波後に、(1)の音声通信優先モードの端末で問題が発生する可能性があることを把握しているため、フルMVNOを利用して提供しているIIJモバイルサービス/タイプIでは、ネットワーク側でこの問題が発生しないような対処をすることを予定しています。
こちらの問題は音声通信優先モード以外の多くの4G(LTE)端末でも発生している可能性がある問題です。実装や接続設定の問題で、接続時に4G網でなく、3G網に最初に接続してしまう場合があります。このとき、一定時間経過後に4G網に接続が切り替わる挙動の場合が多く、この問題に気づけていない場合があります。
3G網と4G網の両方が使えている状態であれば、最初に3G網に接続し、しばらくすると4G網に切り替わる程度の問題で済んでいましたが、3G停波後は3G網がないため、4G網に接続できない原因となります(図-3)。
図-3 3G網に最初に接続してしまう問題
この問題は端末側に起因するものであるため、ネットワーク側では対応できず、端末を利用するユーザ側での対応が必須となり、このような事象に遭遇していた場合は早急に対応する必要があります。IIJが把握している範囲で、この問題がどのような原因で発生するかを分類すると下記のように分けることができます。
2026年3月31日にNTTドコモの3Gサービス提供が終了した際に、4G(LTE)対応端末でも、4G無線網に接続できなくなる問題があることを本稿では解説しました。3G停波まで1年を切っており、時間的猶予がありませんが、本稿の後半で解説した事象は、気付いていないが発生している場合が多いため、本稿をきっかけとして改めて3G停波対応が大丈夫かを確認していただき、問題なく乗り切れることを切に願います。
執筆者プロフィール
大内 宗徳 (おおうち むねのり)
IIJモバイルサービス事業本部 MVNO事業部 基盤開発部 プラットフォーム開発課 シニアエンジニア。
モバイルに関する先端技術の調査、研究とそれを活用したサービス開発に従事。
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