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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.31
2016年6月13日
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目次

2.4 おわりに

迷惑メールの割合は、2010年以降少しづつ減少してきましたが、本レポートで報告したとおり、一時的に増加した時期がありました。これまで減少してきた理由は、迷惑メールの主要な送信手法であるボットネットが活動できないような対策を継続してきたことで効果をあげてきたと言われています。今回の増加が一時的なものであれば良いのですが、こうした大量送信できる能力が依然として存在できるという状況は、やはり脅威であると考えています。

また、迷惑メールの質的な問題についても、引き続き注意が必要です。日本でも、迷惑メールが起因していると考えられる、金銭的な被害や情報漏えいなどの事象が引き続き高いレベルで発生しています。こうした被害の要因には、悪質なマルウェアが関係していると言われています。メールとして直接送信される場合もあるでしょうし、マルウェアに感染させるためのトリガとしてメールが利用される場合もあります。メールをコミュニケーション手段の基盤として引き続き維持していくためには、もう一段強い対策としての枠組みが必要なのかもしれません。

そうした対策の枠組みの1つの例として、前回のIIR(Vol.27)では、DMARCを中心とする送信ドメイン認証技術と、認証したドメインを評価するドメインレピュテーション、レピュテーションの精度を高めるためのフィードバックループの組み合わせについて解説しました。これらの機能要素は、それぞれが関連し合うことで機能を高める側面があります。なので、全体としてそれぞれが普及していくことが望ましいのですが、まずは送信側の導入が容易であり、既に標準化もされグローバル環境でも普及しつつあるDMARCが、もう少し日本で普及していても良いのではと考えています。まずは、現在の普及状況を知るために、今回のレポートではDMARCの認証結果の割合について調査し、報告しました。今後も引き続き、様々な調査を行い、対策に有効な技術の普及に貢献していきたいと考えています。

櫻庭 秀次

執筆者プロフィール

櫻庭 秀次(さくらば しゅうじ)

IIJ ネットワーク本部 アプリケーションサービス部 シニアエンジニア。
コミュニケーションシステムに関する研究開発に従事。特に快適なメッセージング環境実現のため、社外関連組織と協調した各種活動を行う。
M3AAWGの設立時からのメンバー。迷惑メール対策推進協議会 座長代理、幹事会 構成員、技術WG 主査。
一般財団法人インターネット協会 迷惑メール対策委員会 委員長。

2. メッセージングテクノロジー

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