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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.33
2016年12月15日
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目次

エグゼクティブサマリ

他国のこととは言え、米国大統領選挙の結果がトランプ氏に決まったことで世界中が大騒ぎになり、金融、経済、外交、と騒がしくなっているのは、その結果が良かったのか悪かったのか評価に困るところです。次は、安倍首相とロシアのプーチン大統領との会談が控えており、益々国際政治からも目が離せなくなりました。こんな最中にあっても、インターネットのトラフィックはどんどん大きくなっています。米国大統領選挙についてもネットによる中継が地球規模で視聴され、日本の真夜中にトラフィックが増えるなど、世界の動きを支える重要な社会インフラとなっていることを改めて実感しています。

本レポートは、このような状況の中で、サービスプロバイダとしてのIIJが、インターネットやクラウドの基盤を支え、お客様に安心・安全に利用し続けていただくために継続的に取り組んでいる様々な調査・解析の結果や、技術開発の成果、ならびに、重要な技術情報を定期的にとりまとめ、ご提供するものです。

1章では、7月から9月までのインシデントを中心に解説しています。毎年、歴史的特異日がある8月から9月は警戒を強めていますが、ここ数年は平穏に過ぎるようになってきています。一部宗教関連での攻撃もありましたが、歴史的背景や国際情勢にも気を配りながら、この3ヵ月を振り返りました。また、マルウェアとしては、Mirai Botnetを取り上げました。いわゆるIoT機器は、単体では大きな処理能力は持っていませんが、セキュリティ管理が適切に行われないと感染しやすく、大量の機器が巨大なネットワークを形成して攻撃に加わることが可能であることから、今後のインターネットインフラには注意が必要であると考えて取り上げています。

2章では、インターネット配信業界が挑むストリーミング形式の統合について、現状方式での解決策を解説しています。ライブストリーミングは実時間より若干の遅延が発生します。ライブイベントをリアルタイムに近い形で再生させたい業界関係者は多く、その改善に向けた動きが加速されることを期待しています。また、携帯回線の通信容量制限に絡む問題から利用が進んでいないオフライン再生についても、Wi-Fi接続時に動画をモバイル機器にダウンロードさせ、オフラインでも動画を視聴できるようにする技術など、標準化が期待されています。今後益々、発展が期待されるストリーミングビジネスの細部を深く掘り下げました。

3章では、Wikipediaを“科学”してみました。分かりにくいかもしれませんが、Wikipediaの研究を手がけている研究者が、歴史的な事実のDrilldownの機械化を日々考えていて、自然言語研究の分野にまで踏み込んだ結果、Wikipedia分析のために作った基盤技術が応用できそうであるという結論に至った過程を紹介しています。ある意味でビッグデータの解析やDeep Learningにも似た観点で、Wikipediaに蓄積されている情報の中から歴史的事実を発掘して行く、1つの手段になるかもしれません。

IIJでは、このような活動を通じて、インターネットの安定性を維持しながらも、日々改善し発展させていく努力を続けております。今後も、お客様の企業活動のインフラとして最大限に活用していただけるよう、様々なサービス及びソリューションを提供し続けて参ります。

山井 美和

執筆者プロフィール

山井 美和(やまい よしかず)

IIJ 常務執行役員 サービス基盤本部長。
1999年6月IIJに入社と同時に株式会社クロスウェイブコミュニケーションズへ出向し、WDM・SONET網構築、広域LANサービスの企画、データセンター建設に従事し、2004年6月に帰任。帰任後は、IIJのサービス運用部門を担当。2016年4月からはインフラ運用部門を加え、IIJの法人ITサービス全般の運用を統括。同時にIIJのデータセンター事業を統括し、国内初の外気冷却を用いたコンテナ型の「松江データセンターパーク」の立ち上げを主導している。


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