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IIJ.news Vol.190 October 2025
IIJmioの特徴の1つに、携帯端末の豊富なラインナップが挙げられる。
ここでは、端末選定のポイントやトレンド、今後の展望など、端末に関するトピックを紹介する。
IIJ モバイルサービス事業本部 MVNO事業部 デバイス事業推進部 デバイスサービス推進課長
永野 秀太郎
IIJの個人向けサービス「IIJmio」では、2012年2月にLTE対応モバイルサービスを開始しましたが、デバイスを販売する「IIJmioサプライサービス」がスタートしたのは、約3年後の2015年7月7日でした。当初、取り扱っていた端末は、HUAWEI製「P8 lite」のわずか1モデルでした。現在とは異なり、メーカ自らがSIMフリーモデルを販売することは珍しく、IIJからお願いして一定の数量を用意してもらっていたのが、今では常時50種類以上のデバイスを取り扱うまでに拡大しています。
まず根幹にあるのは、可能な限りユーザに求められるデバイスを提供したいという思いです。IIJmioは通信サービスを提供していますが、「格安スマホ」と称するからには、お客さまがご使用になるデバイス(端末)にも満足し、楽しんでいただくことが、MVNOの魅力を知っていただくうえでも重要だと考えています。
またMNOと少し異なるのが、ユーザのニーズが非常に多様なところです。とにかく性能が良いモデルが欲しい方もいらっしゃれば、性能よりカメラが抜群に良いモデルを求める方、性能はほどほどで価格を重視する方、はたまたミドルど真ん中だと物足りなさを感じる方……等々、ユーザごとにさまざまな要望があり、それらを網羅できるのがSIMフリー(オープンマーケット)モデルの良さであり、強みでもあると捉えています。
そのためIIJmioは、エントリーモデルからハイエンド・フラグシップモデルまであらゆる性能・特徴を持つデバイスをラインナップしています。特にハイエンド・フラグシップモデルに関しては、取り扱っているMVNO自体が少なく、そこを継続的にフォローしてきたことがIIJmioの強みになっています。
メーカ数が多いこともSIMフリーモデルの特徴で、IIJmioでも10社を超えています。ちなみにOPPOやXiaomiは、IIJmioがMVNO事業者として初めて取り扱いを開始したメーカであり、日本参入をサポートさせていただき、その後、市場展開を進めてきました。
各メーカが競い合うことができる市場環境は、IIJmioにとっても、お客さまにとってもプラスに働きます。よって、IIJmioがバリエーション豊かなデバイスを提供し、それらをお客さまにご判断いただき、良い結果も悪い結果もメーカにフィードバックしながら、次につなげていただけるよう取り組んでいます。
多種多様なお客さまのニーズに応え続けると同時に、各メーカにはより良いプロダクトを生んでいただくために、MVNOの立場からSIMフリーオープンマーケットを盛り上げていけるよう、端末ラインナップの充実に努めています。
ひと口に「スマートフォン」と言っても、「ベーシック枠」と「ユニーク枠」の2つに大別できます。まずベーシック枠は性能別に区分けできるスタンダードなスマートフォンを指し、ユニーク枠は性能だけでなく、特徴を備えたスマートフォンを指します。ベーシック枠では、次の5点を重点的に吟味するようにしています。
この5点がハッキリしていれば、売りやすく、施策にもつなげやすいデバイスと言えます。
他方、ユニーク枠では重点項目も少し変わってきます。
この3点のなかでも、担当者が「ワクワクし、感動し、面白い」と感じて、なかば衝動的に企画や施策を出せるか、市場に対して明るいメッセージを出すことができるか、といった点が特に重要だと考えています。
IIJmioでは通信品質やカスタマーリレーションを重視していますので、デバイスを安心してお使いいただくうえで、左記の3点が、端末を採用する際の必要最小限の基準となっています。
お客さまのニーズはいろいろな理由から日々変化します。2015~21年あたりまでは、為替バランスが良かったこともあり、参入メーカも、投入されるモデルも増加して、チャレンジしやすい市場環境でした。またこの頃はわかりやすく性能別にエントリー、ミドル、ハイエンド・フラグシップという3つのグレードに分かれていました。一方、現在は円安ドル高、物価高などの影響もあって、ニーズがより細分化し、エントリー、ミドル、ミドルハイ、準ハイエンド、ハイエンド・フラグシップという、5つのグレードに分かれてきています。
なかでも特徴的なのは「準ハイエンド」です。これはCPU性能はハイエンド並かもしくはワンランク下ですが、その他の性能はハイエンド・フラグシップと同等です。CPU性能が劣るぶんだけ価格が安価になっており、機種代金は10万円以下が一般的です。一方、MNOモデルだと20万前後が主流で、安くても10万円を超えるものが多くなっているなか、10万円を切る価格で性能的に満足できるモデルを購入できるのは、SIMフリーオープンマーケットモデルならではだと思います。
さらに、各メーカが自らのファンを作れているかも、とても重要になってきます。国産メーカは安心感と手頃さからリピート率が総じて高く、例えば「AQUOS sense」シリーズはMNOモデルもありますが、SIMフリーオープンマーケットモデルも「国民的スマホ」と呼ばれており、確固たるシェアを獲得しています。
このように端末のグレードは時代に合わせて変化するもの・変化すべきものだと捉えていますので、IIJmioでもメーカと意見交換を重ねながら、その時々の市況に合った、納得感の得られるモデルを用意できるよう努力しています。その甲斐もあって「2024年オリコン顧客満足度®調査」の「格安スマホ(SIM+端末セット)」ランキングでは、満足度総合第1位に選ばれました。
ユーザにとっても、メーカにとっても、IIJmioは重要な選択肢の1つになっていると考えています。IIJmioに来ていただくことで、SIMフリーオープンマーケットモデルを比較検討できる“ショーケース”のような存在になれるよう、これからも挑戦を続けていきます。
現在、スマートフォンのみを製造しているメーカは少なくなっています。そして、インターネットにつながるデバイスのコアにスマートフォンがあり、その他の周辺デバイスや家電などを幅広く展開しているメーカが多くなっています。
今回はスマートフォンに絞ってお話ししましたが、IIJmioもスマートフォンのみならず、多種多様なデバイスを通してインターネットに接続することで、ライフスタイルがより豊かになりトータルな価値訴求ができるような品揃えを目指していきたいと思っています。そして、感動や価値を実感していただけるような新たなサービスも生み出していきたいと考えています。
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