ページの先頭です


ページ内移動用のリンクです

  1. ホーム
  2. IIJについて
  3. 情報発信
  4. 広報誌(IIJ.news)
  5. IIJ.news Vol.185 December 2024
  6. 社内サービスをもっと使ってもらうために

何に使う?ITリソース 社内サービスをもっと使ってもらうために

IIJ.news Vol.185 December 2024

近年、ローコードツール、RPA、生成AIなど、多くのシステムおよびアプリケーションが社内で展開されている。
そうしたサービスをどう積極活用していくか――IIJの事例を紹介する。

執筆者プロフィール

IIJ 経営企画本部 事業基盤システム2部 情報システム課

伊藤 諒

使ってもらわなければ意味がない

情シスには「製品・サービスの導入・検討」「セキュリティ対策」といった課題以外に、「どうしたらもっと社内でサービスを使ってもらえるか?」という悩みがあります。せっかく導入しても使ってもらわなければ意味がありません。ユーザも業務改善効果を高めたいはずですが、実際には特定部署でしか活用されていないなど、全社的に使ってもらうには障壁があります。

Microsoft 365には、TeamsやCopilotなど多くのアプリがありますが、ライセンスに含まれているのに活用できていないアプリがあると思います。情シスとしては仕様の調査、セキュリティ対策に時間をかけたのに、いざ提供してみると思ったように使ってもらえない――これはとても残念なことです。

ユーザがサービスを使ってくれない理由はいくつか考えられます。「便利な機能を知らない」「不便な使い方をしていることに気づいていない」といったパターンです。情シスにはよくある悲しい話ですが、そもそも社員にアナウンスを見てもらえないという問題があります。情シスはもっと便利な機能をアピールしたいのに、研修やシステムメンテナンスのお知らせに埋もれてしまう……。社内で告知・ニュース合戦になっていないでしょうか? その結果、社員自身が「自分に関係なさそうなら、なるべく見ない」というマインドになっているのかもしれません。

最初に挫折・落胆してしまうと……

厄介なのは一度使って挫折・落胆してしまったユーザです。新しいアプリや機能を試して「使えなかった」とすぐに見切りをつけてしまうと、その後もなかなか使ってもらえません。誰に聞けばいいかわからないし、みんな使ってないならいいや、とますます使われなくなってしまいます。そして昔ながらの方法に戻ってしまい、業務改善が進みません。

同じような状況がAI活用でも起こっていないでしょうか? 生成AIはWEB検索のように気になったことを簡単に聞けますが、仕事で使えるレベルの回答を引き出すには、ある程度のスキルが必要です。「面白いけど、仕事には使えない」と早々に見切りをつけてしまった人も多いのではないでしょうか。

こうした「なかなか使ってもらえない」「アナウンスを見てくれない」「すぐ挫折してしまう」といった問題にも、情シスは地道に対応しているのですが、確固たる対策はないのが現状です。

例えば、IIJではMicrosoft 365に含まれるローコードの自動化・連携サービスであるPower Automateの活用を進めていますが、ローコードといえど営業職の方や庶務業務の方は開発経験がないため、なかなか利活用が進みません。使う前から「無理!」と感じているユーザもいるのではないでしょうか。

共感を呼ぶ初心者へのサポート事例

初心者のユーザに対してIIJの情シスでは、積極的かつ直接的にサポートする施策を講じています。かなり工数がかかるように思われるかもしれませんが、実際はそれほど大変ではありません。簡単なことにつまずいている場合が多く、1回当たりの相談もそれほど長くはならないものです。初心者の多くはエラーメッセージに耐性がなく困ってしまうのですが、サポートをしてみると、つまずいた時にリカバリできるよう適切に見守ってもらえたのがうれしかったという意見が多かったです。

自動化やローコードでの業務改善は、多くのユーザが小さな改善を積み重ねることで、全体として大きな成果につながります。既存の大きなものの改善を目指すより、小さな新しいものに個々人が挑戦することでスキルが育ちやすくなるのです。ですからサポートに際しては、幅広いユーザに、できるだけ丁寧に教えるようにしています。

うまくいったサポート事例は、勉強会などで発表してもらうよう推進しています。これは「なかなか使ってくれない」「アナウンスを見てくれない」という問題への対策にもなります。2つの問題に共通するのは「自分とは関係ない」という意識です。「自分の業務に今すぐ役立つか」「どう使えば業務改善できるか」がイメージできないのです。

もちろんサービス展開時に、ユースケースやデモ環境を用意したり、短い動画を作成したり、できる限りのことはやっても、業務活用してもらうまでには、越えるべき“壁”があります。情シスだけで部門ごとのユースケースを考えることはなかなかできません。

そうした背景もあって、つまずいていた初心者の事例には関心・需要があります。共感されやすく、自部署と近かったり、業務が似ていたりするユーザの発表には興味を抱きやすく、自分でもできそうだと感じる人が多いようです。隣人の“口コミ”の影響力は大きいのです。

攻めの姿勢でサイクルを作っていく

かつてのIIJの情シスは、ユーザからの問い合わせ対策のマニュアル整備はしっかり行なうものの、活用事例の提供があまりできていませんでした。それがMicrosoft 365を導入してからは、初心者向けサポートにも注力し、各部署における潜在的なニーズを洗い出せるようになってきました。ユーザからの問い合わせを減らすといった“守り”の意識から、自ら各部署に働きかけてニーズを掘り起こして全社に共有するという“攻め”の姿勢に転じ、「もっと使ってもらえる」社内サービスを目指して、日々尽力しています。

COLUMN

問い合わせとサポート事例

Q1:FAQをチャットボットで自動化したい!(購買・調達部門)

社内手続きのFAQをまとめページに載せているのですが、なかなかユーザに見てもらえません。チャットボットを作って回答ページに誘導したいので、助けてください。

A1:
チャットボットはMicrosoft Copilot Studioで簡単に作れます! メンテナンスも意外に楽です。コードをいっさい書かずに、GUIで完結して作れます。相談者にチャットボットによるサンプルを見てもらいながら、FAQを一緒に作りました。実際に触れて「できた!」と自信を持つことができれば、あとはすでにあるFAQをチャットボット上に増やしていくだけ。自分たちで作れるようになったら、他の情報も載せられないかなど、いろいろとアイデアが膨らんでいったようでした。

Q2:30周年記念、社内グッズの配布&集計用システムをつくりたい!(広報・総務部門)

IIJの30周年記念グッズを社内で販売・配布するのですが、複数のグッズのなかから1つを選んでもらい、支払い方法・受取場所を指定してもらう時、金額計算をExcelでやるのが大変です。購入受付の通知も自動化したいです。

A2:
依頼者はMicrosoft Formsを利用してアンケートは作れていたものの、金額計算の自動化についてはイメージがわかず、Excelマクロみたいなものが必要なの? と考えていたようでした。そこで、Microsoft Power Automate(以下、Power Automate)の利用を提案。Power AutomateはMicrosoft 365内でローコードによる自動化・連携を実現するサービスで、四則計算などの関数にも対応しています。Microsoft Teamsに計算結果を通知することも、これ1つでできます。無事、30周年記念グッズの金額計算が自動化され、通知も行なえるようになりました。

Q3:タスク割り当てをランダムにしたい!(サービス開発部門)

Microsoft Plannerでタスク管理しているのですが、順番で決めるのではなく、公平かつランダムに担当者をアサインするにはどうすればいいですか?

A3:
ちょっとニッチな要件かな……と思いましたが、ほかの用途にも使えるかも、と。要は、グループのなかから被らずに2名を選びたいわけです。ランダム関数が必要なので少しむずかしいですが、Power Automateでの実装を提案し、プログラミング知識を伝授。数字をランダムに作成して配列要素から取り出せばよく、被らないようにするには、数字が同じなら振り直すという力技で解決! こうした実装も慣れれば意外と簡単です。詳細がわかっていなくても、パーツとして使いまわせればO.K.!


ページの終わりです

ページの先頭へ戻る