
IAMとは?PAMとの違いは?クラウド時代のアクセス管理を解説

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2023/05/25(※2026/02/24 更新)
昨今のビジネスではユーザの認証や権限管理が非常に複雑になり、ユーザ管理に関する課題解決にも様々な方法が用いられており、IT担当者の中には「自社にとってどういったセキュリティ対策が必要なのか?効率的なユーザ管理はどれか?」といった疑問を抱くこともあるでしょう。
そこで本記事では、いくつかある対策方法の中でも注目されているIAM・PAM・PRAという3つの仕組みについて解説します。初心者にも分かりやすくIAM・PAM・PRAの違いや関係性、さらにはそれぞれの活用方法をまとめていますので、ぜひ最後までご確認ください。
IAM・PAM・PRAの違いや関係性
まずは簡単にIAM・PAM・PRAの違いや関係性について解説します。各仕組みの詳細については後述しますので、最初に概要を掴むためにぜひ参照ください。
| 名称 | IAM(Identity and Access Management) | PAM(Privileged Access Management) | PRA(Privileged Remote Access) |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 全ユーザが利用するアクセス管理基盤 | 社内アクセス管理の最上位の仕組み | 社外からのアクセスの個別制御システム |
| 主な機能 |
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| 導入時のデメリット・注意点 |
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| 利用シーン |
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3つの違いは以上です。例えるなら「IAMで全体の入館管理を行い、入館後の特別な金庫室へのメンバーのアクセスをPAMで管理、特別な金庫室への社外アクセスをPRAで一時的に許可・制御」とイメージしておけばほぼ間違いありません。それでは、ここからIAM・PAM・PRAがどのような仕組みなのか詳しく解説していきます。
IAM(Identity and Access Management)とは情報セキュリティの必須の基盤

まず、IAM(Identity and Access Management)とは、組織内の情報システムへのアクセスを管理・制御するための仕組みであり、情報セキュリティの基盤となる概念です。従業員が適切な権限でシステムにアクセスできるように、ユーザーIDやパスワードの管理、アクセス権限の割り当てなどを行います。
IAMによって一元的にアクセス権限を管理することで、社内の情報セキュリティの強化やコンプライアンスの遵守を実現できます。また、権限を適切に管理することで不正アクセス・情報漏えいリスクの防止・軽減ができるため、セキュリティ対策という面でも効果的です。
IAMの3つの構成要素(認証・認可・監査)と役割
IAMの構成要素は、認証、認可、および監査の3つです。これらの要素を組み合わせることにより、アクセス管理のプロセスを効率化し、情報セキュリティを向上させています。
| 認証 | 認証は、ユーザーが本人であることを確認するプロセスです。システムやアプリケーションにアクセスする際に、ユーザー名やパスワード、またはワンタイムパスワードや生体認証などの多要素認証を介して、その人物が本当にアクセス権限を持つユーザーであるかどうかを証明します。認証は、不正アクセスやなりすましを防ぐために重要です。 |
|---|---|
| 認可 | 認可は、認証されたユーザーに対して適切なアクセス権限を与えるプロセスです。ユーザーの役割や権限に基づいて、どのリソースにアクセスできるかを制御できるため、社員を必要最小限のリソースにのみアクセスさせることで権限の不適切な使用を防止し、セキュリティを向上させます。 |
| 監査 | 監査は、システムへのアクセスや操作履歴を記録・管理し、万が一不正アクセスや情報漏洩があった場合に証跡を辿るためのプロセスです。監査を通じて、社外からの攻撃だけではなく社内のコンプライアンス違反の特定・解析も可能になるため、コンプライアンスの面でもより確かな対策を講じることができます。 |
認証により正当なユーザーであることを確認、認可により適切な権限を制御、最後に監査によりアクセス状況を把握・評価というこれらの構成要素が連携して機能することで、IAMは企業の情報セキュリティを強化し、適切で効果的なアクセス管理を行う事ができます。
IAMの構築で運用最適化
IAMはセキュリティ対策に有効な概念ですが、業務効率化の観点でも以下のような重要な役割を果たします。
- 従業員の入退社や異動に伴うアカウント管理
- 職務単位の権限割り当て
- クラウド環境のアクセス制御
例えば、アカウント管理でIAMを活用することで、入社時に必要なアクセス権限をすぐに付与することができ、退職時には速やかな削除が可能になります。IDライフサイクル管理が自動化され、権限の抜け漏れ防止にも繋がるのです。
PAM(Privileged Access Management)とはセキュリティ管理の仕組みの一つ

次に、PAM(Privileged Access Management)は、特権アクセスを管理するためのセキュリティの仕組みであり、ユーザの認証や権限管理、操作履歴などを監視・制御できるのが特徴です。
システム・アプリケーションの管理者や運用責任者に「特権アクセス」を付与し、アクセス権のある「スーパーユーザー」と呼ばれるアカウントによって下記のような管理を実施できます。
- システムの設定変更
- アカウントの追加・削除・変更
- セキュリティ設定の管理
以上のような管理や制御をスーパーユーザーのみが実施することで、不適切なシステム使用や不正アクセスを防止し、セキュリティリスクを軽減できます。また、一部の管理者に権限を集約するため、権限の可視化・迅速な設定変更などが実現。業務負荷を低減し、業務効率化に寄与するのも魅力です。
PAMの機能を活用して社内のアクセス管理・権限を徹底監視・制御
PAMの機能と目的は、特権アクセスを持つユーザーのアクセス管理、権限の監視・制御、アクセスログの監査を行い、情報セキュリティの強化、コンプライアンス遵守、業務効率の向上を実現させることです。
PAMの主な機能は以下の通りです。
| アクセス管理 | 特権アクセスを持つユーザーのアクセス管理を行い、認証や権限割り当てを適切に実施します。これにより、不正アクセスの防止や適切な権限管理が可能になります。 |
|---|---|
| 権限の監視・制御 | 特権アクセスを持つユーザーのアクセス権限の監視と制御を行う事で、権限の不適切な使用や悪意ある攻撃者による権限の悪用を防止し、情報セキュリティを向上させます。 |
| アクセスログの監査 | PAMは特権アクセスを持つユーザーのアクセスログを収集し、監査を行います。これにより、セキュリティ違反やコンプライアンス違反が発生した場合に原因を特定し、適切な対策を講じることができます。 |
| 一時的な権限の付与 | PAMでは、特定のタスクやプロジェクトに対して一時的な特権アクセス権限を付与することができます。権限の追加削除が頻繁に必要な場合でも、セキュリティリスクを軽減しつつ柔軟な運用を行うことができます。 |
| パスワード管理 | PAMは特権アカウントのパスワード管理を効率化し、定期的な変更や特定の強度をもつパスワードポリシーの適用をサポートする事で、不正アクセスのリスクを軽減します。 |
PAMはIAMと併用して真価を発揮
前述している通り、PAMは社内の特権アクセスの管理に特化した仕組みですが、導入・運用時にはIAMと併用するのがおすすめです。PAMでも一部システム(特権アクセスの対象となるシステム)を保護することが可能ですが、それ以外のシステム・アプリケーションなどは守れません。
IAMで社内全体を保護、その中でも重大な領域をPAMで監視するのが現実的です。そのため、コスト削減で特権アクセス対象のみを守りたい小規模企業や、特権操作を記録するためだけの内部用途など、PAM単体の運用は限定的だと覚えておきましょう。
PRA(Privileged Remote Access)とは社外関係者のガバナンス強化の仕組み

PRA(Privileged Remote Access)は特権アクセスを管理するためのセキュリティの仕組みの一つで、子会社・海外現地法人や業務委託先のリモートアクセスを管理・制御できます。グローバル企業や大手企業にもあまり浸透していないほど比較的新しい仕組みですが、今後PAMと同じく重要なセキュリティ施策の一つになるでしょう。
PRAの機能でリモートアクセス監視の側面からゼロトラストを実現
「ゼロトラスト」とは全てのアクセスを“信用しない”ことで社内システムを守るセキュリティ概念であり、様々な要素を組み合わせることで実現できます。PRAにはそのゼロトラストの要素である「MFA(多要素認証)」「SSO(シングルサインオン)」といった機能と連携することで、社外の特権アクセス管理の観点からゼロトラスト実現に役立ちます。ゼロトラストやその構成要素については下記記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてお読みください。
PRAはサプライチェーン攻撃対策に有効
PRAは昨今多発しているサプライチェーン攻撃対策にもなります。サプライチェーン攻撃とは「子会社や取引先の脆弱なシステム・ネットワークを悪用して、堅牢な本社のシステムに不正アクセスする」というもの。
サプライチェーン攻撃から自社を守るには、社外からのリモートアクセスを管理・制御する必要があります。PRAを用いて社外からのリモートアクセスを一元管理・制御することで、社外関係者のIDを悪用したサプライチェーンリスクを大幅に軽減できます。複雑なサプライチェーンを形成している企業ほど、PRA導入によるメリットは大きいでしょう。
PRAの機能には、社内システムへのリモートアクセスを制御するものが豊富です。例えば、IIJが提供する「Safous」は、事前アクセス承認・MFA・SSO・レコーディング機能などが揃っています。Safousを例にPRAの機能・使い方、業界・業種別のユースケースを無料のホワイトペーパーにまとめていますのでぜひご確認ください。
IIJ Safousで手軽にセキュリティ・ガバナンス対策
本記事ではIAM・PAM・PRAの特徴や違いについて解説しました。それぞれは細かい目的や仕組み・機能は異なりますが、企業を守るために必要不可欠な存在です。3つの仕組みは下記のように使い分けましょう。
| IAM | 社内全体を守る認証システムであり、一定以上の規模がある企業・組織には必須の仕組み。セキュリティ対策であるとともに、管理者の業務効率化にも繋がる。 |
|---|---|
| PAM | 重要なシステムを守る仕組みで、一部のメンバーに「特権アクセス」を付与して権限を集約してシステムを守る。システムを一般ユーザと切り離して管理・制御したい、社内セキュリティ強度を向上したい場合に有効。 |
| PRA | 社外リモートアクセス特化のPAMのようなシステム。近年増加傾向にあるサプライチェーン攻撃に役立つ。PAMに加え別のシステム基盤上で社外からのリモートアクセスを制御したい場合におすすめ。 |
IIJで提供しているSafousは、上記のうちPRAに類するサービスです。MFA・SSO・レコーディング機能・事前アクセス承認といった豊富な制御機能、エージェントレスによるシンプルな導入などが大きな魅力です。IDP連携が可能で、社内のPAMとは別のシステム基盤上でセキュアに管理できるのも特徴といえます。製造・医療をはじめサプライヤーを多数抱える企業であれば導入のメリットは大きいでしょう。
もしサービスの詳細について気になるようであれば、下記の専用フォームからSafousについてお気軽にお問合せください。また、PRA及びSafousに関するFAQも公開中なので、そちらもあわせて一読いただければ幸いです。





